自分をご機嫌にするヒント

人生にはデコボコがつきもの。自分をご機嫌にする方法を見つけて、楽しく生きるヒントをご紹介。

同郷の作家さんは応援したくなるのが人情

基本的にはジャンルを問わず『本』は好きです。けれど好んで手に取るジャンルと、スルーするジャンルは正直あります。以前はライトノベルが苦手で、食わず嫌いならぬ、読まず嫌いの期間がありました。

 

ところが一冊の本との出会いによって、ライトノベルは意味不明のカタカナ造語が乱発されてて読みづらい、といった先入観が打ち砕かれました。それが有川浩さんの『空の中』でした。手に取ったきっかけは、有川さんが『高知出身』だったからです。そのときすでに人気作家ではありましたが、ライトノベルのカテゴリーに入っておりましたので、高知出身でなければおそらくスルーしたはず。

 

同郷というだけで、どうしては人は親しみを感じ、心を開いてしまうのでしょう。年代も違うしお会いしたこともないのに。とにもかくにも購入した本のページをめくりました。そして衝撃を受けたわけです。

 

お、面白い!!!!!

 

有川さんといえば『自衛隊』三部作が有名どころ。岡田准一さん主演で映画化もされましたし、多くの方に認知されている作家さんだと思います。もし同郷でなければ、私は一生この面白い作品を手に取ることがなかったかもしれない。そう考えるとこの奇跡に感謝してしまいます。以降はライトノベルのジャンルを積極的に読むようにもなりました。

 

『本好き』とかいっておきながら、お恥ずかしいことに、読んだ冊数は少ない方だと思います。活字好きとか、読書が好きなわけではなくて、本そのものが好きで。いわゆるコレクターの一種といえるかもしれません。タイトル買い、表紙買い、挿絵買いもします。極論をいえば内容重視じゃないんですね。友人いわく「本を本棚に並べてニヤニヤしている変な人」らしいです。

 

ちょっと脱線しました。ライトノベルを読むようになってから知ったのですけれど、ライトノベル出身の直木賞作家さんもおいでるようですね。ますます私は先入観というか偏見をいだいていたことになります。穴を掘って入りたい(/ω\)

 

ライトノベル=若い子向けの軽い小説

 

メッチャ上から目線でした。しかも若い子向けだから若干作品も稚拙に違いない! みたいな考えもあったことは否めません。本当に穴があったら入りたい。有川さんにしてもジャンルを超えた作品を発表し続けています。その多くが映画化、舞台化をされ高い評価を受けています。ですから今や私も、同郷という人情ではなく、大好きな作家さんとして、しっかりリストに記しております。

 

最近読んだ有川作品『ヒア・カムズ・ザ・サン

有川浩 ヒアカムズザサン



これも味わい深い作品でした。手に触れたモノに残る記憶が見える、という特殊能力を持つ編集者が主人公です。いわゆるサイコメトラー的な感じですかね。人と違う能力を持つということはある種の悲劇を生むこともあります。知りたくもない過去が見えたり、表と裏の顔がわかって人間不信になったり、とマイナスに働くことが多いのではないでしょうか。

 

けれど有川さんはその能力を、人と人とを結び再生させる、プラスの部分に焦点を当て続けています。視点が優しいのです。そしてほとんど悪人が出てこない。ストーリーも日常の中の小さな幸せに光をあてています。恋愛の書き手としてもすぐれていて、とにかく人間を描くのが上手い。キャラクター設定が絶妙で、主役と脇役のバランスだったり、細かいところまで気遣いが行き届いています。

 

全ての作品を読破しているわけではないですけれど、作品の中の軸は変わらないのではないでしょうか。私の中では今後も読み続けたい作家さんです。

 

有川さんがライトノベル出身だと知らない人もいることでしょう。しかしながら、もしも、もしも、私と同じように『ライトノベル作家』ということで作品を避けている方がいるとしたら、ものすごくもったいないと言えます。

 

自戒の念も込めて、読まず嫌いは損をする!ということを心に刻んでおくことにします。

有川浩著『ヒア・カムズ・ザ・サン

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